相続税・贈与税対策について

 平成27年1月1日から相続税の課税最低限が引き下げられることが正式に決定いたしました。今後、相続が発生した場合に相続税が課される被相続人が増加することになります。したがって、今後発生し得る相続に対して、以下の3つの対策が必要となります。

(1)節税対策 

 相続が開始してしまったら節税対策の手段は無いのかと言えば、そうではありませんが、やはり事前に行なうのと行なわないのとでは全然違います。 もともと財産というものは国のものであり、その財産を国が各国民に運用するように委託したものです。そして委託された国民が死亡したときに相続税という課税方法で精算をし、税金という形で徴収して、また他の国民に委託する。従って、相続税というものは課されて当然なのですが、やはり少なくできるものなら最大限に少なくしたいというのが人情でしょう。 となりますと、事前にできることはやはり手を打つべきです。 養子縁組の活用、贈与税の配偶者控除の活用、賃貸物件の生前贈与などあてはまる手段が色々とあると思われます。

(2)納税資金対策及び生活資金対策 

 相続した財産が土地・建物などの換金性・流動性が低いものが多い、預貯金が少ない、借入金などマイナスの財産が多い場合には、相続税の納税が苦しくなる恐れがあり、またその後の生活費のやりくりに苦労する可能性も出てきます。延納(分割払)や物納という制度もありますが、中途半端に現預金が有りましたら物納できなかったりしますので、自分の思い通りに行かないことも考えられます。 事前に生命保険金・退職手当金・年金などで納税資金の確保し、生活費の見通しを立てておくことが大事です。

(3)争族対策 

 相続が開始してからは遺産分割で相続人が争うことが思ったよりも見られます。相続が開始してからは人格が変わる人もいます。 A相続人が事業を引き継ぐときはA相続人に事業用財産を相続させる。同居していたB相続人に自宅を相続させる。貢献度の大きいC相続人には特別にそれに見合った財産を相続させる。また、誰が事業を承継し、誰が一家のまつりごとを行なう自宅に住むかなども決めておきたいものです。とにかく、できるかぎり争わず円滑に相続させたいのが被相続人の真意でしょう。 そのためには生前に遺言(ゆいごん又はいごん)をしておき、又は生前贈与、死因贈与契約などをしておくのが望ましいでしょう。